【特集】さようならフェリー福江
 九州商船五島航路カーフェリー乗船記
   


■航走中のフェリー福江 平成23年 2月26日撮影


 九州商船五島航路(長崎〜福江間)に投入されているカーフェリー《フェリー福江》。1978(昭和53)年の就航以来、五島航路の足として活躍してきた船です。
 30年以上も活躍し、平成23年4月17日に新造船《フェリー万葉》にその後を託します。
 今回は残り1か月となったフェリー福江に乗船してみました。

※写真は平成23年 2月26日女神大橋歩道より撮影。
 就航前の様子です。長崎〜福江間を2隻の船で1往復半の運用となっています。
 ちょうどこの日第1便はフェリー福江が長崎港に停泊していました。
 長崎港、経由地の福江・奈良尾・奈留港の整備により、乗船はこのように通路が整備され風雨を気にせず乗船できます。

 乗降口は現在は、船中央部の写真にご覧の位置より乗船します。
 港が整備される前の乗客の乗降口。就航からしばらくはこの扉から乗降。階段を登って乗客用船室に行っていました。目的地に着くと、階段を下っていっていました。

 船の塗装は基本色は就航時から変わらず。下部の緑色は就航時《長崎−五島フェリー》という大きな青文字がありました。現在はその上で塗装されよくみるとその文字が見えます。
 後年に五島を代表する椿の絵も加えられるようになりました。
 船の前後は車を積載する扉があります。写真は長崎港の様子。前扉を開けて車を積載しているところです。
 船の前後は車を積載する扉があります。この船の諸元は次とおりです。
1,867総トン
全長79.7m
幅14.3m
出力6,800馬力
航海速力17.3ノット(時速約32km)
乗客定員630人
   渡り可動橋を伝って乗船してみることにしましょう。
 長崎港からはターミナルビル2階にフェリー用の待合室があり、そこから乗船します。
 乗船するとちょうど船の中間点に、案内所があります。ここは、売店(弁当・雑誌・酒・つまみ・清涼飲料水・雑誌・菓子・おみやげ品)と船舶公衆電話があります。

 携帯電話が普及する前は、陸上の連絡手段でした。電話の呼び出しの船内放送がよくありました。

※携帯電話が繋がらないときは、こちらの電話(104で教えてもらえる)で連絡を取れます。
   案内所を挟んで船の全部・後部に客室があります。この客室は一番利用客が多く、運賃も安い2等客室です。いくつかの空間に絨毯式のスペース。枕、毛布、洗面器(ゴミ捨てと、船酔い用)あります。そこに各々座るか横になる形です。

 テレビが数台備え付けられています。
 2等客室からさらに階段を登ると、2等指定(旧1等客)、1等客室(旧特等客室)があります。

 数人単位の小部屋に別れています。写真は1等客室の入口です。

 下段左は1等客室、右は2等指定客室の例です。その他特別室があります。
 
   2等客室にある船の案内図。救命用具の位置、脱出経路、消防設備の案内が書かれています。

 救命用具・救命艇は就航時から実運用中に使われた記録ありません。大きな事故がなく運行された船員努力は素晴らしものがあります。
 1等室などがあるフロアに後方甲板があります。潮風にあたりながら航海を楽しむこともできます。ベンチは撤去されてありませんでした。  
 後方甲板にあるゴサ収納箱です。多客期はゴザをしいて甲板に座って酒を酌み交わす風景も見られました。

 子どもの時、甲板でゴザをしいて《展望客室》などと言って、海の景色を見ていた記憶が懐かしく思います。
 出航の時刻になりました。汽笛を鳴らし、港から離れていきます。
 一路五島に向けて、長崎港を航走します。
 女神大橋をくぐります。壮観な風景です。くぐる前後は撮影にも最適です。   
   第1便は、福江港直行。出発から約3時間20分で福江の市街地が見えてきました。下段左は、福江島で有名な山、《鬼岳》。右は、福江港に入る直前の模様です。

 33年間、大きな事故・トラブルもなく次のフェリー万葉に五島航路を託します。長い間ご苦労さまでした。




取材日:2011(平成23)年 3月 4日
製作日:2011(平成23)年 3月15日



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