【古電卓】キヤノン Canola L121
1960年代の電卓と思い入手したキヤノンの古電卓《キヤノーラL121》。詳細を調べると1970(昭和45)年発売された電卓であった。12桁1メモリの電卓。まずは外観を示す。
表示にニキシー管(放電管)を用いている。真空したガラス管に数字などをかたどった管に放電させ、数字を光らせて表示する。拡大した写真を挙げる。
ニキシー管は蛍光管そして液晶表示に代替された、《絶滅した》デバイスである。寿命が来れば在庫品を探すのみである。今となっては懐古趣味もしくは昭和を懐かしむ光だと思われる。
この電卓のキー配置が興味深い。現行品のキヤノン電卓と違う部分に説明文を入れた写真を挙げる。
【写真】各機能の紹介→原寸表示
【現行電卓と違う点】
1)固定小数点方式・・・小数点桁指定ダイヤルで指定 0,2,4,6。
0にセットすると12桁の整数計算ができる。
2にセットすると10桁+小数点2桁の計算。
4にセットすると 8桁+小数点4桁の計算。
6にセットすると 6桁+小数点6桁の計算。
2)電源投入時の表示
現在の電卓は電源を投入すると0.を表示する。1970年前半ごろの電卓は、すべて0が点灯される。不要な0を点灯しない《ゼロ・サプレス》機能は1972年あたりから登場する。この電卓はすべて0を点灯させる。
【写真】電源投入後の表示~ゼロ・サプレス未装備モデルとわかる。
3)加算器式・・・初期の電卓は加算器式であった。キーを見てみよう。
【写真】加減算キー
黒の=は加算、赤の=は減算に使用する。操作はこのようにする。
1+1 1= 1=
2-1 2= 1=
1+2-3 1= 2= 3=
当時はこれが主流であった。乗除算は=を押して答えを求める。
4)0での除算の処理・・・・オール0と小数点が点灯する。
たとえば小数点桁指定ダイヤルを0に合わせ、12桁の整数計算状態にしたうえで、0での除算を実行すると、
00000000000.0
と表示し演算停止する。
桁指定以外の部分に0と小数点を表示させて0除算エラーを示している。
5)定数計算・・・・スイッチにより乗除算のみ。
定数計算選択スイッチをKに合わせると、乗除算のみ定数計算する。
たとえば、8の逆数は、8 = =と操作する。
6)概算計算(オーバフロー)・・・上位桁切捨て。
現行電卓のオーバフロー処理は、下位桁切り捨てである。この機種は上位桁切り捨てである。
例:小数点桁指定4、答えが123,456,789.0000になった場合は、23456789.0000と←(オーバーフロー)ランプが点灯する。
7)RVキー・・・・・X-Yレジスタ交換
入力した数値を交換するキーである。簡単に言えば、最初に入力した数値と次に入力した数字の順番を変えるになる。RVキーはキヤノンの機種に時々登場している。現行品では見られない。
8)メモリキー・・・・・メモリ表示なし。経年劣化でランプ切れと思い探してみたが見つからなかった。
製造後40年以上経過した現在も正常に駆動する。たまに電源を入れて計算してみようと考えている。