関数電卓マニアの部屋

2007.09.20改訂

まえがき

このページを作ったのは2006年の6月のこと.当時,私のサイトに来る訪問客で最も多いのが「関数電卓セレクトガイド」のページにキーワード検索で来る人達だったため,いっそ,お客様の望むページを作ろうじゃないか!という意気込みで,手持ちの関数電卓と当時の各メーカーの最新機種をレビューするページを作ったのがはじまりだ.当時の目標は「関数電卓」のキーワードでGoogle検索トップ10入りだったがそれも達成された.

今では関数電卓の情報を求めて,毎日百人あまりの人がこのページを訪れるようになった.こうなると,なんだか只の「趣味のページ」では済まなくなるのではないか,と勝手に考えている.ページのスタンスは当初と変わらぬ「俺様のページ」だが,現在では色々なコンテンツを加え,「情報」という軸で好意的に評価されるよう心がけている.

書いてある情報に間違いが無いよう,ときどき手持ちの電卓で再確認して,国内大手メーカーの最新機種は常にフォローするようにしている.もちろん,自分が持っていない電卓については今後も一切語らないつもりだ.

世間が私を必要としなくなるまで,お小遣いの許す限り日本の関数電卓の進歩を追いかけて行きたいと思う.

ご意見,ご要望があれば是非メールを頂きたい.

旧まえがき


関数電卓についての私の主張

  1. 「200関数」「回帰分析」「数値積分」などは不要
    関数電卓にやらせるべき仕事は,せいぜい十ステップ以内の三角関数,べき,logなどの計算である.21世紀になり,パソコンがどこにでもあるこのご時世では,複素数,行列,統計,積分などはもっと適当な道具を使って行うべき.
  2. 基本機能はできるだけ表側に.
    √,x^2,1/xはあらゆる計算の中で最も頻繁に現れる.これらのキーが2nd functionに来ている電卓は基本設計に問題ありと言わざるを得まい.また,「数式通り」方式のラストアンサーキーも同様.例えば,標準方式の電卓で最後の計算の答のsinを取りたければ[sin]キー一つで済むが.数式通り方式で[ANS]が裏側にある機種では[sin][SHIFT][ANS][=]と4ストローク必要.
  3. メモリの書き込み,呼び出しは使いやすく!
    メモリへのデータ書き込み,呼び出しは専用キーを与えるべきである.[STO],[ANS]が裏にある電卓を私は評価しない.次に,「数式通り」タイプで[RCL]と[ALPHA]の機能が異なる機種も問題.単一メモリは[STO][RCL]キー,マルチメモリは[STO][A][RCL][A]の操作でさっさと利用できるユーザーインターフェースを望む.もちろん,マルチメモリ機は,キー表示の見やすさにも気を配って欲しい.メモリの使いやすさは,国産メーカーよりTIやHPなどの外国製の方がよく考えて作られている.
  4. [F<->E]キーは必須機能
    演算結果が,例えば99999999だったばあい,これが何桁だかを瞬時に判別することは難しい.こういう表示をC言語では"F形式"と言う.これをボタン一つでC言語で言うところの"E形式",すなわち9.9999999×10^7と表示を切り替えるキーがある.普通は[F->E]の刻印があるが,これが備わっている電卓と,備わっていない電卓がある.しかしこれは関数電卓の必須機能と思うのだが如何.

今日の主流である「数式通り入力」の関数電卓はとても使いやすく出来ており,初心者がマニュアル無しでもそこそこは使えてしまう.一方で,ベテランユーザーにとっては,不可欠の機能が届きにくいところにあったりと,新しい機種ほどマン=マシンインターフェースに改善の余地がある様に見受けられる.パソコンがこれだけ身近になった今,関数電卓に求められる機能とは何か,を再考する必要があるのではないだろうか.


コラム

07/09/09 数式通り入力電卓の[ALPHA]キーに関する考察

07/09/10 関数電卓のラストアンサーと数式プレイバックに関する考察

07/09/12 関数電卓における時刻(角度)計算の比較

07/09/21 [(-)]キーと[-]キー(大きい数と小さい数の入力について)

07/10/09 関数電卓のバグ(メモリRCLとラストアンサーの競合)

07/10/11 Natural Display機で数値積分

07/10/22 関数電卓のバグその2(時刻計算の切り捨て問題)

08/01/19 数式通り電卓の[(-)]キー

08/04/14 CALC機能を使おう

08/08/29 関数電卓と物理定数

08/09/27 異文化との遭遇:TI-30XB

08/12/06 省略の美学

09/03/26 ビミョーな優先順位

09/09/07 負数の実数乗

10/01/11 フェルミ推定問題

10/02/24 関数電卓のしくみ(CORDICアルゴリズム)

11/06/03 CASIO/Canonの[RCL],[STO]機能の歴史に関する考察

11/09/02 fx-913ESとEL-509Jはどちらが「買い」か?

11/10/05 6÷2(1+2)=?

13/01/19 CASIOの第3世代自然表示モデルをレビュー


関数電卓博物館


「間違いだらけの関数電卓選び」(笑)

CASIO Canon SHARP その他メーカー
fx-290
fx-375ES
fx-995ES
F-502G
F-715SA
F-718S
F-788SG
F-789SG
X Mark I Pro
EL-509F
EL-501J
EL-509J
HP 35s
HP 10s
TI 30XA
TI 30XB
BLT fx-350TL
Citizen SRP-280Q
KADIO KD-1005
凡例
ここには写真が入る.解像度は同じなので大きさの比較が出来る. メーカー   初出日,また補筆があったとき日付を記入
型式    
実売価格 \x,xxx 購入したときの実売価格.安売り電機店で買うとこの程度,と言う目安.
入力方式 標準電卓
数式通り
RPN
ナチュラル入力
「標準電卓」とは,常に表示されている数値に対して関数が作用する,伝統的なタイプの操作方法.「数式通り」とは,メインの表示画面の他に数式表示のエリアがあり,関数も「=」キーを押すまで確定されないもの.「RPN」とは,HP電卓独自の逆ポーランド形式.「ナチュラル入力」とはCASIOが開発した,ドットマトリクス液晶と組み合わせたWYSIWYG入力方式.それぞれの入力方式の特徴は関数電卓セレクトガイドを参照.
角度モード ◎○△× Deg,Rad,Grad切り替えの容易さ
 ◎[DRG]キー装備
 ○[MODE][DRG]
 △3キー操作
 ×4キー以上の操作
[F<->E]キー ◎○△× E形式への切り替えの有無,使いやすさ
 ◎[F<->E] F形式とE形式が相互に表示される
 ○[ENG]  E形式の小数点位置が次々シフトする
 △上記機能に[SHIFT]キーが必要なもの
 ×キーがない
メモリSTO ◎○× メモリへの値の代入の使いやすさ
 ◎[x->M]キー装備
 ○[STO][A-Z]
 ×上記機能に[SHIFT]キーが必要なもの
メモリRCL ◎○× メモリへ代入した値の使いやすさ
 ◎[MR]キー装備
 ○[RCL][A-Z]
 △[RCL][A-Z]だがCASIO方式のもの
 ×上記機能に[SHIFT]キーが必要なもの
√キー独立 ○× これら,よく使う関数のキーは独立していることが望ましい.
x^2キー独立 ○×
1/xキー独立 ○×
BSキー ○× 1文字戻る機能の有無.
寸評 辛口批評.

CASIO fx-290
メーカー CASIO 10/07/23初出
型式 fx-290  
実売価格 \1,580 ネット通販(Amazon.com)
入力方式 数式通り  
角度モード [MODE][MODE][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-F, M, X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 一見,古く見えるがれっきとした10 年6月発売の新モデル.CASIOホームページによると,最もベーシックな機能を持 つ「スタンダード関数電卓」としてfx-260Aの後を継いだのだそうだ.見た目は旧 モデルfx-350MSにそっくり.唯一,太 陽電池の有無が異なるのみで,ディティールに至る外形,色,キーアサインは全く同じだ.従って機能もほぼ同じで,新しく付け加わったのが「単位換算機能」,「整数乱数機能」である.

パッケージには「199機能」を謳うが,109種類ある単位換算を含んでいるのでこれを引くと91機能.fx-350MSが88機能なので,「整数乱数」を引いた残り2つは何だろうか.ちなみに,下のfx-913ESでは,単位換算と逆換算を別々に勘定しているが,さすがに反省したのだろうか.私に言わせればまだまだ反省が足りない.消費者の皆さんには,数字上のスペックで選ばない賢い選択をして欲しいところである.

関数電卓としての基本機能はもちろん全て揃っており,上位機種にあって本機に無いのは複素数,積分,CALC機能など.

お値段は,私が買った頃はまだ出始めだったのでこの通りだが,現在では1,200円くらいで手にはいるらしい.ライバルとしてはCanon F-715SHP 10sが挙げられる.F-715Sは本機に比べると少々高く,10sは入手困難.とにかく,なるべく安い関数電卓をお探しなら本機がお薦めである.もはや「安いから」といって「標準電卓」を選ぶのはやめた方が良いだろう.そういう意味では本機は文字通り2010年代のスタンダード機と言って良い.

fx-260Aが引退したことで,CASIOの関数電卓に関するUIの思想は完全に「数式通り」にシフトしたといえる.欠点も多いが,ユニークなモデルだったので惜しまれる.合掌.

CASIO fx-375ES
メーカー CASIO 12/12/17初出
型式 fx-375ES  
実売価格 \1,980 新宿ヨドバシカメラ
入力方式 ナチュラル入力  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-F, M, X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 CASIOの「数学自然表示」モデルが4年ぶりにモデルチェンジ.今回のモデルチェンジで,乾電池動作のモデルは消滅※1.モデル名の375/915/995がそのまま機能の差異を表すようになった.

しかし,ベーシックモデルを謳う本機の機能は旧913と同等で,更に科学定数が加わっている.これで\1,980円はバーゲンである.

外装は旧機種と全く同じで,変更は中身のソフトウェアだけと思われる.ただし,左図の数値積分を実行させてみたところ,fx-913ESが27秒だったのに対して25秒と若干の時間短縮が見られた.LSIが世代交代したと推測される.

内部精度などの基本性能は変わっていないようだ.tan(355/226)の計算結果は

fx-913ES   -7497258.44
fx-375ES   -7497258.44

と変化なし.

さて,本機の最大の特徴は,「自然表示」モデルではじめて解表示に小数が選べるようになったことだ.この機能を,私を含め多くの関数電卓ユーザーが求め続けて何年が経っただろうか.ようやく,メーカーが重い腰を上げた.

設定は,[SETUP]の「Math IO」の下にサブメニュ ーが有り,表示を「Math O」とするか,「Line O」とするかが選べる.つまり,入力と表示の「Math IO」か「Line IO」かの選択が独立になったということだ※2.表示を「Line O」モードにすれば従来のように分数・根号を保ったまま表示され,「Line O」を選べばあらゆる計算結果が小数で表示される.

この機能が無いために,私は「自然表示」モデルを仕事で使う関数電卓としてお勧めすることを躊躇していたのだが,いまや障害は取り除かれた.上記のように価格も戦略的で,同時に発売されたライバル機,Canon F-789SGに比べ1,000円も安い.2012年12月現在,疑いなく本機がベスト・バイである.

CASIOの第三世代「自然表示」モデルの詳細なレビューは別記事としたので参照されたい.

※余計なことだが,蓋には旧型と同様,乾電池を納めるための窪みがある.わざわざ,新しい金型を起こさなかったのだろう.

※入力が「Line IO」のときは「Math O」表示は選択できない.

CASIO fx-995ES
メーカー CASIO 12/12/17初出
型式 fx-995ES  
実売価格 \4,980 新宿ヨドバシカメラ
入力方式 ナチュラル入力  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-F, M, X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 CASIOの第三世代「自然表示」モデルの最上位機種.今回のモデルチェンジで各モデルの機能の差異がどうなったかまとめておこう.

・fx-375ES
 旧913ES相当の機能に科学定数を追加.

・fx-915ES
 旧993ESにほぼ準拠.375ESに行列,ベクトル演算などを追加したもの.
 更に,993に無かった機能として総積を求める機能や素因数分解などが追加された.

・fx-995ES
 fx-915ESに「元素周期表」の機能を追加.あとは,915ESと比べて統計関係の機能が充実.

新型の上位機種で,私が関数電卓でやらせたいと思う機能は無い.ベクトルや行列の計算が必要ならMathematicaを使うし,原子量を知りたければネットか壁のポスターを見る.従って,正直,今回の5,000円近い出費は痛かった.それでも,敢えて購入したのは,現在執筆中の「理系人のための関数電卓パーフェクトガイド」改訂版の資料として必要なためだ.

筐体は旧モデルの993ESを受け継いだようで,アルミの表面パネルが高級感を醸し出す.関数電卓としての基本機能はfx-375ESと同じなので,上のレビューを見て頂きたい.当然,今回のモデルチェンジで採用された「解の小数表示」が最大のセールスポイント.

では,本機の目玉である「元素周期表」とはどんな機能か.詳しい操作法の説明は別記事を参照して頂きたいが,簡単に言うと,Atwt(n)と言う関数が新しく搭載されたというものだ.これは,整数を引数に取る関数で,nに原子番号を入れると,原子量(2009 IUPAC)を返す.他にも高度な統計関連の機能があるとはいえ,それらのために+3,000円を支払うのは勿体ないと思う.旧913/993の選択のときには科学定数の有無があったので,「好みで選んで良いよ」というのが私の意見だったが,今回はさすがに「375で充分」と言いたい.

Canon F-502G
メーカー Canon 09/07/27初出
型式 F-502G  
実売価格 \980 平塚ケーズデンキ
入力方式 標準電卓  
角度モード [DRG]
[F<->E]キー [F<->S] or [ENG]
メモリSTO [x->M]
メモリRCL [MR]
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
寸評 2009年1月に販売開始,上記F-502の後継機.とはいっても,メーカーホームページには旧機種も健在である.Canonは何故か3世代にもわたる製品が全てカタログ上では現行機種である.ここは,旧機種との比較を中心に論じてみよう.

はじめにデザインから.先代と打って変わり,丸みを帯びたデザインはCanonの第3世代に共通のものだ.右上のエコマークは,この機種が廃トナーカートリッジを材料に作られている証である.

先代で不評だったスライド蓋の立て付けの悪さは見事に解消している.というか,下の写真を見よ.まさか,このサイトを見てCanon設計陣が反省したわけでもあるまいが.とにかく,開け閉めに関しては現代最高レベルに達した.


もうひとつ,特筆すべきは指数表示部が独立したことだろう.ライバルのSharp EL-501E,先代F-502はどちらも仮数表示の一部が指数表示に使われるタイプだったが本機は専用の表示エリアが与えられた.仮数表示も一回り大きくなって,この点ではライバルに大きく水を空けたと言って良い.

ユーザーインターフェースにも大きな変化があった.キー配置は今まではEL-501Eと似たパターンだったが,Canonの文法に準拠したものに変わった.たとえば[EXP],[+/-],[π]の位置に注目して頂こう.三角関数や対数などの配置も旧モデルに比べ合理的.操作の基本は「標準電卓」のお手本であるEL-501Eとほぼ同じなので使いやすいことこの上ない.特に,私はn進変換の入力はSHARP方式の方が断然優れていると思っているので,「n進変換器」として本機を購入するのもありだろう.

右下の[M+]キーは相変わらずだ.ここまで引っ張るともうこれは哲学.これを必要としている人のために是非続けて下さい.

機能的には旧機種から増えたものは無いようだ.ただし,時刻入力方式が変わった.今までは「1時間30分」は[1] [.] [2] [3] [4] [5] [→゚ ' '']と打ち込む「標準電卓」方式だったのだが,本機種は[1] [゚ ' ''] [2] [3] [゚ ' ''] [4] [5] [゚ ' '']と打ち込む「CASIO fx-991s」方式に変わった.両方式の詳しい説明はこちら.置数結果表示が自動的に小数に変換されてしまうのが難点だが,入力方式としてはこちらの方がわかりやすく,歓迎するべき変更だ.

細かい点だが,[F<->S]と[ENG]が独立したのも気配り.ただ,[F<->S]キーがあれば[ENG]を使う機会はそれほど多くないのでは?

というわけで,旧機種に比べいろいろと改善された本機,EL-501Eに強力なライバルが現れたと言って良いだろう.

Canon F-718S
メーカー Canon 10/06/08初出
10/06/10修正
型式 F-718SA-RD 白(SA-WH),緑(SG-GR)もある
実売価格 \1,980 ヨドバシカメラ秋葉原店
入力方式 ナチュラル入力  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-D, M, X,Y,数字]
メモリRCL [RCL][A-D, M, X,Y,数字](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 いよいよCanonから登場した「Natural Display」タイプの電卓.レビューを心待ちにしていた諸兄も多いのではないか?

当然ライバルはCASIOのfx-913ESだ.ただし 値段はこちらの方が約2/3なので,その点を割引して読んで欲しい.はじめに大き さ,質感だがどちらもfx-913ESの方が上.ライバルが異種樹脂を使いアクセント を出しているのに対し,こちらは単一の型で抜き出した平板なデザインだ.プラ スチックの質感も良くない.四角い筐体は「レトロモダン」を狙ったとも見える が,ゲート跡の処理法を見るとコストダウンの結果だろう.この辺はむしろ旧モデルのF-715Sが良かっただけに残念.大きさは,fx-913ESよりキーが1段多いせいもあって1cmほど背が高い※1.ぱっと見た感じかなり大柄な印象を与える.左の写真を見て貰うとわかるが,表に出ている理由がわからないボタンがいくつもあるので,この仕様変更は疑問.むしろキーを1段減らし,高さを抑えた方が得策では無かったか.

ソフトウェアには明らかにCASIOの「Natural Display」機の派生品.それは,機能の並び方が共通だったり,CASIOの「Natural Display」電卓で伝統的に問題点として指摘されている点が受け継がれていることからも間違いないだろう.これは,過去のモデルを見れば驚くには当たらない(残念ではあるが).

さて,ユーザーインターフェースを見ていこう.fx-913ESで指摘した,キーに対するレスポンスが鈍いと言う問題はほぼ完全に解消している.複雑な連分数に指数を含む数を入れてみたが,キーを取りこぼすことは全くなかった.

キー配置は,F-715Sとの互換を保ちつつ「Natural Display」の文法に従ったため中途半端なことになっている.滅多に使われないと思われる[Q...r]と[LCM]を表に残したのは良いとしよう.しかし,だったら絶対必要な[ , ]キーを裏に回すのは許されない.キーが増えたことにより[x-1],[x3]が表に回ったが,代わりに[STO]と[Data]が裏に回った.今回の変更でF-715Sのセールスポイントだった,「独立したメモリSTO,RCLキー」を失ったことは大きな損失だ.まとめると,

増えたキー:[x-1] [x3] [logab] [Abs] [F-D]
減ったキー:[ , ] [STO] [Data]

CASIOの「Natural Display」機を使っている学生が必ず不平をこぼすのが,解をとにかく分数にしたがる仕様だ.もしかして本機はこれが改善されているかと思ったが全く同じ.

あと,本機はF-715Sの後継,入門機と位置づけられているらしく,fx-913ESには備わっている が備わっていない.これらの機能は使いようによっては便利なので入門機とはいえ元々あったこれらを切り捨ててしまうのは惜しいと思うのだが如何か.

Canon伝統の多メモリは本機でも健在.F-715Sと同じ17のメモリが使用可能だ.

最後に,この電卓のウリである「内部18桁精度」について.「Voidware.com」という有名なサイトに「Calculator Torture Test」という電卓の精度の限界を試すコーナーがある.三角関数の精度を知るには「tan(355/226)」と言う計算をやると良いのだそうだ.Voidwareの調査によると,国産の関数電卓でこの計算が精度いっぱいまで正しいものは存在しなかったが,F-718Sがその一番乗りの栄冠を勝ち取った.

※1 キーボードの高さはF-715Sと同一.なぜこんなに背が高いのか理由は謎.

Canon F-715SA
メーカー Canon 12/10/10初出
型式 F-715SA  
実売価格 \1,480  ヨドバシカメラ町田店
入力方式 数式通り  
角度モード [MODE][MODE][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-D, M, X,Y,数字]
メモリRCL [RCL][A-D, M, X,Y,数字](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 型番からも分かるように,F-715Sの後継機種.Canonの現行機種に共通する,スクエアなデザインをまとう.こう言っては何だが,ちょっと大きい.

キーアサインはF-715Sとは若干異なり,同じデザインのF-718Sに似る.そのため,大変残念なことに,Canonの関数電卓の特徴であった「独立した[STO][RCL]」が失われた.同時期発売のF-788SGは独立した[STO][RCL]を持つので,キーアサインに拘る向きにはそちらをお勧めしたい.

どうも,コイツとか,F-718Sは[LCM]とか[Q..r]とか無駄なキーが表に出ている割りに,[STO]が裏に回ったのが気に入らない.

ソフトウェア的には,F-715Sから大きく変わっていない.Canon関数電卓の特徴である,数字キーに割り当てられたメモリも健在.

tan(355/226)を計算させたところ,

F-718S   -7497258.185   (正解)
F-715S   -7497258.159
F-715SA  -7497258.215

となった.つまり,内部精度18桁はこの機種では採用されていないが,ソフトウェアは旧機種と同じというわけではない,ということになる.

Canon F-788SG
メーカー Canon 12/10/10初出
型式 F-788SG
実売価格 \2,380 ヨドバシカメラ町田店
入力方式 数式通り  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO [STO][A-F, M, X,Y,数字]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y,数字](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 型番からも分かるように,F-788dxの後継機種.Canonの現行機種に共通する,スクエアなデザインをまとう.もともと,F-788dxが大柄な関数電卓だったので,それに比べて大きくなったと言う印象は無い.縦が若干長くなり,厚みが薄くなった.

これだけ多機能な関数電卓にもかかわらず,独立した[STO][RCL]を持つのは立派である.これは褒めてあげたい.

キーアサイン,機能は旧機種を受け継ぐ.細かい点だが,旧機種にはあった[OFF]キーが無くなっている.太陽電池併用になったため,細かく電源を切る必要が無くなったからだろう.しかし,せっかくできた貴重なスペースを[ON/CA]キーにしちまった.旧機種の様に,電源をクリアキーに割り当てておけば,空いたキーに他の機能を割り当てられたのに.

F-788dxのウリであった,「電源を切っても履歴が保存される機能」は本機には受け継がれない.現在,現行機種でこの機能を持つのはSHARP EL-509J/520Jのみ.

tan(355/226)を計算させたところ,

F-718S   -7497258.185   (正解)
F-715S   -7497258.159
F-788dx   -7497258.159
F-715SA  -7497258.215
F-788SG  -7497258.215

となった.どうやらCanonは計算エンジンを世代によって変えてきているらしい.そうなると,F-718Sだけなぜ内部精度18桁なのか,と言うのは謎である.

2012年現在,CASIOの「数式通り」は入門機の廉価版,fx-290で,SHARPに至っては「数式通り」から撤退したと言っても良いのが現状である.したがって,敢えて「数式通り」をお望みの諸兄には本機が最もお勧めできる機種と言える.

Canon F-789SG
メーカー Canon 12/12/17初出
型式 F-789SG  
実売価格 \2,980 新宿ヨドバシカメラ
入力方式 ナチュラル入力  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-F, M, X,Y,数字]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y,数字](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 F-788SGの登場から遅れること3ヶ月,Canonの「教科書ビュー」方式関数電卓の上位機種が登場した.型番からも分かるように,本機はF-788SGの兄弟という位置づけだが,中身に共通点はほとんど無い.むしろ,CASIOのfx-993ESのソフトウェアと,CanonのF-718Sのデザインを受け継いでいる,と言った方が正確だろう.

キーアサインはF-718Sによく似ている.機能が増えた分,いくつかの関数が裏に回っているが,主要な関数は表にあるので問題ない.それにしても[RCL]キーのとなりの[Abs]キーは惜しい.使用頻度から言えば,ここは[STO]キーを持ってくるべきだろう.F-788SGがそうなっているだけに残念.

内部のソフトもF-718Sからのアップグレード版で,内部精度18桁を誇る.この点でも,F-788SGとの出自の違いが浮き彫りになる.当然,tan(355/226)には正解を返す.

落ち着いたグレーのデザインとアルミの正面パネルは高級機の雰囲気を良く演出している.これと言って欠点の無い機種だが,ライバルのCASIOがほぼ同時にfx-375ESを出した来た.これと比べると,さすがの本機も霞む.特に,値段が1,000円も高いのは痛い.

一応,援護しておくと,本機は機能的にはほぼ同価格のfx-915ESと比べるべきで,fx-375ESには無いベクトル・行列計算機能,素因数分解や総積機能を持つ.それにしても,同じ機能がCASIOの新型にも同時に搭載されたのは偶然では無いだろう.CASIO,Canonの2社は,関数電卓のソフトウェア開発で緊密な連携関係にあることは間違いない.それにもかかわらず,今回CASIOの新型が採用した「解の小数表示」を本機が採用しなかったのは誠に残念である.

本機から採用された目新しい機能が左上の[Apps]キーである.これは,関数電卓の多機能化に伴い,足りなくなったスペースの問題を解決するアイデアとして有望であろう.例えば複素数モードで[Apps]キーを押すと



という画面が出る.ここから,複素数の表示形式変換や実部,虚部,共役複素数などの関数が選べると言うわけだ.CASIO fx-375ESの場合,同様の機能は[Shift] [2]とわかりにくいところにある.[Apps]キーの機能は計算モード毎に異なり,一般計算モードだと総和,総積,最大公約数や最小公倍数など,普段あまり使わない関数が集められている.その分,本機はパネル上の表記がすっきりしている.fx-995ESの写真と比べてみて欲しい.

Canon X Mark I Pro
メーカー Canon 12/12/17初出
型式 X Mark I Pro  
実売価格 \4,480 新宿ヨドバシカメラ
入力方式 ナチュラル入力  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-F, M, X,Y,数字]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y,数字](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 なんだか関数電卓らしくない名前だ.デザインも,写真で分かるとおり,従来の関数電卓とは明らかに異なる.アップル社の製品を彷彿とさせるお洒落なデザインだ.中身は,同時に発売されたF-789SGと同一なので,機能についてはそちらを参照されたい.

外観と使い勝手についてだけレビューしよう.まず,手に持った感触だが,気のせいかずっしり重く感じる.しかし実際の重量は110.5g(メーカー資料)で,EL-509Jの128g(ケース含む,実測)より軽い.背面パネルはアルミのように見えるが,実際はプラスチック.本機にはハードケースは無く,お洒落なソフトケースが標準で付属する.しかし,このソフトケースは薄い布製で,正直これだけで鞄に放り込むのは勇気がいる.電源の誤操作も心配.

デザイン優先のためか太陽電池を省いており,電池寿命はF-789SGに比べ短い.

キーアサインはF-789SGと微妙に違っていて,これが微妙に使いにくい.[MODE]キーをどうして左上の一等地に持ってくるかなあ.あと,[RCL][STO]が下,というのは日本の関数電卓の暗黙のルールなのに.それ以上に,キー同士が離れていないデザインは,関数電卓の様に一本指で押すデバイスの場合はかなり使いずらいということが使ってみてよく分かった.

本機はProを銘打っているが,デザインの格好良さのために色々な要素を捨てた,プロから見れば残念なモデルというのが正直な感想.Canonのカメラをこよなく愛するアマチュアカメラマンなんかには似合いそうだ.

HP 35s
メーカー HP 07/09/18初出
型式 35s  
実売価格 \7,980  July.co.jp通販
入力方式 RPN 数式通りモードもあり
角度モード [MODE][DRG]
[F<->E]キー [SHIFT][ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-Z]
メモリRCL [RCL][A-Z](メモリ値一覧表示機能あり)
√キー独立  
x^2キー独立 ×  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 HPが世界初の関数電卓「HP-35」発売35周年を記念して発売したモデル.外観はHP-35に似せてあるが,機能的には後の名機HP-15Cあたりを踏襲している.HPから久しぶりに出たRPN関数電卓.

HPの関数電卓には個人的に思い入れがある.昔,先輩が「コレに慣れると普通の電卓が使えなくなるよ」と言いつつ見せてくれたHP-15Cは,小さいわりに存在感があり,なにより素人が触ることも許されないような風格を持っていた.貸してもらったが全く使いこなせなかったことを憶えている.その後HPが関数電卓ビジネスから撤退,あの宝石のような電卓をこの手にするチャンスは失われ,今日に至る.

上で述べたように,HP独特の逆ポーランド記法(RPN)は,その原理を知らないと足し算すら出来ない独特のものだ.しかし慣れるともうHPの電卓から足を洗うことが出来ないという,習慣性の強い麻薬のような効果があるという.

参考文献:野尻抱介著「ロケットガール」

というわけで,憧れのRPN電卓を手に入れた.日本では極一部の通販サイトでしか販売されておらず,予約分はすぐ売り切れてしまうため入手は困難.RPN電卓の強い習慣性と,HPがしばらく普通の関数電卓の製造を中断していたことから日本中の中毒患者が群がったものと推測される.

だいたい,「シャープ関数電卓」や「カシオ関数電卓」のファンサイトなぞ寡聞にして知らないが,「HP電卓」のファンサイトは日本語のページだけでも枚挙に暇がない.

かように,ファンを虜にするHPの関数電卓だがその使い勝手はどうか.一言で言えば,「シロートにはお勧めできない」.東海大の学生には,日本メーカーの普通の関数電卓をお勧めします.RPN電卓はビギナーには毒が強すぎる.

一方,RPN入力方式は慣れると打鍵数が減り,括弧のネストを間違えることが原理的にないなど優れた特徴を持つ.「考えた通りに打てばよい」というのもファンが好む理由だそうだ.まあ,普通の関数電卓を5年も使ったら挑戦してみなさい.

さてこの電卓,機能的に最大の特徴は「複素数の関数が計算できる」ことではないだろうか.これは日本の電卓には無い素晴らしい機能.良く言われるのが「iのi乗」という計算だが,HPの計算機なら難なく0.207879576...と解答する.答は実数になるが,何故こうなるのかは各自で調べること.もちろん,三角関数や対数も複素数を引数に持てる.

※もしこのページの更新が止まったら,HP電卓のdark sideに堕ちてしまった証拠です.探さないで下さい(笑).

HP 10s
メーカー Hewlett-Packard 07/11/11初出
09/01/09修正
型式 10s  
実売価格 \990 July.co.jp通販
入力方式 数式通り  
角度モード [MODE][MODE][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO × [SHIFT][STO][A-F, M, X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 HPの世界戦略モデル.これを知るきっかけは,ある方からの投書で「今後HP 10sを評価する予定はありますか」というリクエストだった.現行の,容易に手に入る電卓以外にはあまり興味は無いのだが,通販サイトを見てその値段にびっくり!パチモンのBLT fx-350TLを除けば現行の「数式通り」電卓最安値である.

あのHPがブランドを背負っているのだから,値段通りの実力ではないだろう,と思い購入.テストしてみた.

主観だが,丸みを帯びたデザインは国産モデルより少し安っぽく見えるかな?一方,キーのクリック感はHPらしく国産モデルよりしっかりしている.左の写真はスキャナで取り込んだものだが,LCDが非常に見えにくいのはスキャナとの相性が悪いだけで肉眼では全く問題ない.

さて,肝心の機能の方だが,この電卓,良いところも悪いところも全てCASIO fx-991MS(350MS)にそっくり.まず間違いなくソフトウェアには共通点がある.列挙すると,
ついでに言うと,数式の履歴は国産モデルと同様,電源offで綺麗に消えて無くなる.従って,総合評価としてはfx-350MSといっしょ.「数式どおりモデルとしてはお勧めだが,Canon F-715Sには一歩譲る」となる.「HPらしい電卓」を期待した諸兄には残念だが,この電卓はHPの皮をかぶったCASIO fx-350MSだ.

あっそうそう.それからもうひとつ.裏側のゴム足はやめた方がいいなあ.取れるから.この辺はHPさんも経験が浅い.電卓はヘビーデューティーでなければ.

しかし何でHPはこのモデルを日本で販売しないのだろうか.マニュアルの表紙を見て驚いたが,多国語対応にもかかわらず日本語版がない!はじめから日本以外の国でのマーケットシェアを日本メーカーから奪うことのみを考えて作られたモデルのようだ.でも,日本で勝てないモデルが世界で勝てるかな?

最後に,このモデルならではの特徴を挙げると,
  • 国産の\2,000クラスのモデルと同等の機能で半額
  • にもかかわらず,世界企業Hewlett-Packard謹製だ
  • 入手経路が限られること,日本語のマニュアルがないことが敬遠されるため誰も持っていない
どうだい,「HP」のロゴが燦然と輝くこのレアな電卓をさっと取り出すと,隣の席の女の子が声をかけてくるかもよ?コイツを,2007年11月現在の「ちょいモテ電卓」に認定しよう.

TI-30XA
メーカー Texas Instruments 10/02/05初出
型式 30XA  
実売価格 13.98ドル(約\1,300-) エモリー大学の生協で
入力方式 標準電卓  
角度モード [DRG]
[F<->E]キー [2nd][ENG]または[2nd][SCI]
メモリSTO [STO][1]or[2]or[3]
メモリRCL [RCL][1]or[2]or[3]
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 エモリー大学訪問の際,おみやげを買うために寄った生協で.あちらでは日本製の関数電卓のシェアは低く,「電卓といえばTI」が常識.逆に,本機を日本で手に入れる事は相当困難な様だ(通販も正式なルートは確認できなかった).

筐体の大きさは国産の標準入力タイプより少しだけ大きい.質感,カバーの立て付けは,Canon F-502Gなどと比べると明らかに一歩譲る.ファンクションキーが数字キーと同じ大きさなのは,手の大きなアメリカ人向けか(笑).そのため,キー数はF-502Gと比べて4つ少ない.それにもかかわらず重要な機能は全て表にあるのは立派である.上の表が全て「○」評価なのは,現在の所本機のみである.更に,[π]キーが堂々たるポジションである点を高く評価したい.演算キーが一回り大きいのもエルゴノミクス重視だ.つまり本機は,キー操作性の点からは本ページで紹介されている機種中最高の評価となる.

国産電卓と異なる点を挙げていこう.まず,液晶表示を見てお分かりのようにメモリが三つある.「標準電卓は一つ」という常識に慣れた我々には驚き.上級者向け機能と言えるが,慣れてしまえば二つ以上のメモリを使いこなすことは難しくない.何より忌まわしい[M+]が無いのが私好みだ.

続いて,[Σ+]キー.この電卓には「統計モード」が無いのだ.国産の関数電卓は,統計計算をやりたいときにはまず「統計モード」に入ってからデータの入力を行うが,本機はいつでも[Σ+]を押すたびデータが入力される.こちらの方が合理的な設計と言えるだろう.

機能的には,Canon,SHARPの現行機に備わっているn進変換,複素数演算機能は付いていない.基本機能に徹した割り切りと見た.

自動電源offから復旧するとき,入力途中の数値も含めてすべての状態を記憶しているというのは他機種(30XB)にも共通する特徴.国産関数電卓は各種試験対応のためこの機能を敢えて殺していると思われるが,本当に意味があるのかは疑問.

「欠点」と言ってしまうのはキーの数が少ないゆえに可哀相なのだが,[F<->E]機能が裏にある点は指摘しておこう.

入手困難な上マニュアルは英語とかなりハードルの高い機種である.しかし,実務で関数電卓を使う際に何が必要か,という観点から,プロのエンジニアの方々には本機を是非お勧めしたい.

TI-30XB
メーカー Texas Instruments 08/09/27初出
08/09/30修正
08/10/11追記
型式 30XB MultiView  
実売価格 17.99ユーロ(約\2,700-) リスボンのデパートで
入力方式 MultiView(Natural Displayと同じ)  
角度モード [MODE][→][enter]
[F<->E]キー × [ENG]
メモリSTO [STO][x]...[enter] (TI方式)
メモリRCL 値確認:[2nd][recall]
式代入:[x]...    (TI方式)
√キー独立 ×  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 国際会議のため訪問したポルトガルの首都,リスボンで購入.1月にボストンに行ったとき,MITの生協を物色したのだがこんなのはなかった.それもそのはず,コイツはメーカーが「中等教育用」という位置づけで発売しているもの.したがって機能は一般的な関数と統計くらいだが,関数電卓として私が必要と思っている機能はすべて揃っている.
(階乗,時分秒キーが見あたらないが,これらは[prb]キーの先にあり,非常に使いにくいが機能としては装備されている.)

TI電卓のホームページを見ると,「数式通り」電卓がたくさんラインナップされており,それらは上級機種に相当する.どうやら,TIは「Natural Display」は高校生向けの機能と位置づけているらしい.何とも勿体ない話.

操作方法は,CASIOのNatural Displayとほとんど同じ.しかし電卓のOSはTIの完全オリジナルである.日本の電卓はどれも,良くも悪くも操作方法がそっくりと言って良いが,この電卓は随所に日本の電卓と違うところがあり,楽しませてくれた.詳しいレビューはここにまとめるにはスペースが少ないので,コラムで述べる.

使い勝手の違いのうち,最大の特徴はメモリ機能.携帯電話のように押した回数で変数を選択する方式だ.例えば,計算の答えをxに代入したいときには[sto][x][enter],yに代入したいときには[sto][x][x][enter]となる.

一見して面倒と思われるこの方式も,慣れると意外と楽だ.むしろ,数多くのボタンから目指す変数を探す日本方式の方が面倒に思えてしまう.人間工学の妙といえよう.かつて,「関数電卓に[Alpha]キーは不要」と書いたが,こういう解決方法は思いつかなかった.

この方式の特筆するべき点は,数式で変数を利用するときに,多くのシチュエーションで打鍵数が1で済む点だ.たとえばxに代入した値のsinを取りたいときは[sin][x][enter]でいい.多くの場合,電卓で使いたい変数は一つだけだから,このメリットは計り知れない.

そのほか,使い勝手で日本の電卓と異なり便利と思われる点を列挙すると

・ 変数に代入されている数値を一覧できる
電源offのとき,入力途中の式も含めてすべての状態を記憶している
・ CASIOのNatural Displayと違い,とりあえず答は小数で返し,[<->]ボタンで分数に変換
・ 繰り返し計算に便利なtable機能(コラム参照)

といった点が挙げられる.特に,電源が切れても入力中の式が保存される機能は日本の電卓には見られないもので,一部ユーザーからは切望されている機能.日本では,数式履歴は各種試験対策として敢えて電源offとともに消されるように設計されているが,コイツはブリスターパックの宣伝文句で「試験持込対応」を謳っている.文化の違いとしか言いようがない.

最後に欠点を挙げておこう.

・ [ans]キーが裏にある
・ [F<->E]キーがない

シンプル,ユニークなだけでなく,随所に見られる便利な操作性が特徴の本機,残念ながら日本では通販も含め入手方法は無いようだ.もし海外で見かけたら迷わず購入しよう.

SHARP EL-501J
メーカー SHARP 11/08/29初出
型式 EL-501E  
実売価格 \980 新宿西口ヨドバシカメラ
入力方式 標準電卓  
角度モード [DRG]
[F<->E]キー [F<->E] 
メモリSTO [STO]
メモリRCL [RCL]
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
寸評 名機EL-501Eの後継機.外観が一新された.一方,キーアサインは全く変わっていないし,メーカー発表の「機能数」も同じく68なので,ソフトウェア的には同じものと推測される.前作が優秀なキーアサインを持っていたので,正常進化と言えるだろう.

一見して気づく現代的なフォルム.FX-509Jと共通のこのデザインで,SHARPは完全に他社に追いつき,追い抜いた. 写真写りが悪いのは,表面がピアノブラック調でギラギラに光っているため.イヤほんと,千円未満で買える商品としては破格のオーバースペックだ.

外形寸法,厚さはほぼ同じ.と言うことで,今でも併売されているEL-501Eを選ぶ理由はないだろう.直接のライバルはCanon F-502Gだが,見た目の格好良さでは,10人中10人がこちらを選ぶのではないか.ちなみに使い勝手はほぼ互角である.

LCDの有効桁数が前モデルと変わらないのは少々残念だが,実用に差し支えるほどではない.その他のインプレッションについてはEL-501Eの記事に譲る.

一点だけユニークな点を挙げると,本機はリセットスイッチが前面に配置された.他機種でリセットが前にあるのは記憶にないので,本邦初ではないか.マニュアルには「強いノイズやショックで動かなくなったとき」に使うとあるが,私の使用環境で電卓がフリーズしたことはない.パルスパワー関係のエンジニアからの要望があったのだろうか.今や,電卓初心者が標準入力モデルを選ぶ理由は無いので,「プロの道具」としての機能の追求と見れば好ましい仕様変更だ.

SHARP EL-509F
メーカー SHARP 08/04/13初出
09/01/09修正
型式 EL-509F  
実売価格 \1,980  
入力方式 数式通り  
角度モード [SETUP][0][数値]
[F<->E]キー ×  
メモリSTO [STO][A-F, M,X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M,X,Y](SHARP方式)
√キー独立 ×  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
寸評 2007年の冬に出たモデル.型番からEL-509Eの後継機の位置づけとなるが,中身は前モデルの上位機種EL-520Eと全く同じ(だと思う).キーアサインは全く一緒だし,メーカーサイトに書いてある「機能一覧」も全く同じ.なので,レビューについてはそちらに譲ろう.エントリー機種にもかかわらず,n進,複素数,物理定数などが装備されているのは他社にない特徴だろう.

加えて,今まで上位機種でしか使えなかったCALC機能(SHARPは「シミュレーション計算機能」と呼んでいる)※がついたことは評価したい.

しかし,キー割付けについては,EL-520Eのダメダメなところをそのまま受け継いでいるので評価は辛い.やっぱり機能が多すぎるんだよなあ.前作,EL-509Eのキー割付けは「数式通り」タイプにしてはかなり良かったのに,それを受け継ぐことなくソフトを流用したのみで高機能化を図ったのは残念.

※他社製も最近は普及価格帯の機種に装備されるようになった.詳しくはコラム参照

SHARP EL-509M
メーカー SHARP 14/01/26初出
14/02/22修正
型式 EL-509M  
実売価格 \1,980 ヨドバシ.com
入力方式 W-View(数式自然表示)  
角度モード [SETUP][0][数値]
[F<->E]キー ×  
メモリSTO [STO][A-F, M,X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M,X,Y](SHARP方式)
√キー独立 ×  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
寸評 EL-509Jのマイナーチェンジ版.機能数が384から442と大幅に増えているが,増えたのは換算できる単位の数.パッケージ裏面の機能リストも,電卓表面の刻印も全く同じ.したがって,実質「できること」が変わったわけでは無い.

本体は全く同じデザインだが,蓋がマイナーチェンジした.取り出すときの「たてつけ」を改善したものと思われるが,そのため若干(<1mm)厚くなった.

色は写真のブルーの他,イエローとホワイトが選べる.新色で,旧作との差別化を図る.

今回の目玉は,fx-375ESと同様に「『自然表示』モードでも解が小数点表示」がオプションで選べるようになったことである.

「自然表示」関数電卓を大学や実務で使うに当たり最も不便な点であると私が主張してきたこの点を,CASIOが改善したのが上述のモデル.関数電卓として異例の短期間でSHARPが新モデルを出してきたのは,拙著「関数電卓パーフェクトガイド(改訂第1版)」や本サイトの影響が少なからずあったものと思いたい.

切り替えはCASIOとほぼ同じで,[SETUP]→[EDITOR]→[W-VIEW]と選ぶと,その先で「0:EXACT」か「1:APPROX.」が選べるようになった.EXACTとAPPROXの意味は,ルートや分数を崩さず保持すれば解は無限の精度で保証されるが,小数点に直してしまうと丸め誤差が出る,と言うことだろう.従って,APPROX解表示を選ぶと,根号を含む計算に[CHANGE]キーが一切効かなくなる.
(この制限はCASIOも同じ)

計算速度を比べるため,左の積分を実行させてみた.

EL-509J : 16秒   EL-509M : 16秒

結果も全く同じで,チップもアルゴリズムも変わっていないだろうと見当が付く.価格も据え置きだし,本当に,今回のマイナーチェンジは小数点表示が可能なモデルをなるべく早く市場投入したいという思惑だろう.

しばらくは旧モデルが投げ売りされるだろうが,やめておいた方が良い.高々2,000円の商品,今回採用された機能を買ったと思えば安いものである.

SHARP EL-509J
メーカー SHARP 11/08/29初出
型式 EL-509J  
実売価格 \1,980 新宿西口ヨドバシカメラ
入力方式 W-View(数式自然表示)  
角度モード [SETUP][0][数値]
[F<->E]キー ×  
メモリSTO [STO][A-F, M,X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M,X,Y](SHARP方式)
√キー独立 ×  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
寸評 外装デザインが黒,オレンジ,緑の三色がラインアップされている(SHARPホームページ).好みでオレンジを選んでみた.

上位機種,EL-520Jとの差はベクトル,行列演算機能.こんなのはポケコンかPCでやるべきなので,実売で千円高い上位機種はお勧めしない.

はじめに言及するべきは,ようやくSHARPが他社と同様の数式自然表示を「関数電卓」クラスに採用したということだ.同社はこれを「W-VIEW」方式と呼んでいる.同様の機能は「プログラム関数電卓」では前からあったので,実績は既にある.

EL-501Jと共通のモダンなデザイン.優秀な工業デザイナーの手になるものだろう.寸法は前モデルEL-509Fに比べ縦横厚みとも一回り大きくなった.しまうときに蓋とボディの溝が噛み合わないことがある.見た目が良いだけに残念.

ライバル,CASIO fx-913ESと本機で決定的に違う点が二つある.一つは「数式履歴と途中経過が電源offでも保存される」という点である.もうひとつは矢印キーの上の[D1] [D2] [D3] [D4]キーで,関数キーを登録できるという画期的機能だ.これで,「裏ファンクション」のうちよく使うもの([Ans]とか)を登録しておけば無敵のキーアサインが実現できる.

SHARPから久しぶりに出た大型新人.ライバル,CASIO fx-913ESとの比較インプレッションは別記事にまとめることとする.

BLT fx-350TL
メーカー BLT
(中国のメーカー)
06/06/17初出
07/09/20補筆
型式 fx-350TL  
実売価格 \126 但し送料,代引き手数料を入れると\1,386
入力方式 数式通り  
角度モード [MODE][MODE][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO [STO][A-F, M,X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M,X,Y](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
寸評 この電卓は店には売っていなくて,私はヤフオクで落札した.Googleなどで検索すると,あちこちのオークションに出品している零細業者が出所であることがわかる.従って定価は無く,私の購入価格が標準的な入手価格と考えて良い.生産は中国.

この電卓,経緯はよく分からないが, CASIOの絶版モデル,fx-350TLとキー配置,操作が全く一緒.合法的にライセンスが移行されたものなのか,CASIOからLSIだけ買って組み立てているのか,違法コピーなのかは不明.しかし,CASIOのコピーだけにキー配置に関しては満点に近い点数をあげて良い.特に,fx-350TLは後のモデルで改悪された,メモリ[STO],[RCL]もまだ独立しているし,機能が限定されているだけ主要な関数は全て表にある.x^3と3√まで表側にあるのは,ちょっと勿体ない.独立メモリの[STO],[RCL]キーだったら完璧なのに.

一方,製品の質感という点においては,やはり中国製.ボタンの操作性,キートップの刻印,液晶のコントラスト,どれも現行の日本製品とは比較にならないほどチープ.

あと,使っているうちに,だんだんキーを強く押さないと認識されなくなってくる.接点の寿命が短いようだ.やはりMade in Chinaはまだまだ,ということ.

今は入手不可能な名機fx-350TLの操作性を求める人,電卓なんて計算が出来ればよい,と言う人なら如何?

CITIZEN SRP-280Q
メーカー CITIZEN 09/04/22初出
型式 SRP-280Q  
実売価格 \1,280 ヨドバシドットコム
入力方式 数式通り  
角度モード [DRG] [←→]
[F<->E]キー ×  
メモリSTO [SAVE] [←→] [=] (独自方式)
メモリRCL [P/V RCL] [←→] (独自方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
寸評 このページをはじめてから,ずっと気になっていた機種.CITIZENブランドの関数電卓が存在することは知っていたのだが,手に入れる機会はなかった.なぜなら,この電卓は手に入れるのも結構たいへんなのだ.近所の量販家電店では絶対見かけない.町田のヨドバシでも扱っておらず,結局通販で手に入れた.とにかく,マイナーな機種である.そこまでして手に入れる気になったのは,ある方からの投書.以下引用すると,

「シチズンのwebサイトを見ると、売る気があるのかと思われるような内容しか載せていませんが、「ENG」の問題を除いては、致命傷の少ない良い計算機だと思います。もちろん、今後は手にいれることが難しいと思われる人知れずオーバースペックな内部24桁演算のバイナリ計算機です。...中略...かってなお願いだとは思いますが、ぜひ先生の評価を見せていただけたらと思いますので、SRP-280Qを取り上げていただけると幸いです。」


とのこと.早速見てみましょう.まず,見た目についてだが,「作り」については国内3大メーカーには及ばないが,30XB10sなどの米国メーカー製に比べればずっと良い.持った感じが意外に小さいのに気づくが,厚さを測ったところ本体中央部(キー突起含まず)で8.9mmしかない.これは,最近発売のfx-913ESを下回り国内最薄である.むしろ,他メーカー製の電卓には何が入っているのかと訝ってしまう.

国内他機種と異なる最大のポイントは,自動電源offで全ての状態が保存される,という点だ.もちろん,入力途中の数式も同様.各種試験への持込が出来なくなるが,これが本来の自動電源off機能のありようだろう.CITIZENはここに商機を見いだした,とも見えるがどうか.

肝心のユーザーインターフェースを見てみよう.良くも悪くも,国内3大メーカーとは異なる独自仕様が目立つ.もちろん,普通の四則演算や三角関数,対数で迷うことはないのだが.唯一,階乗キーが無いのだが,これは30XBと同様に[PRB]キーを押してから選ぶ方式.PRBの下にある機能も同じことから,ソフトウェアが共通のルーツを持つことがわかる.よく使う機能では[ENG]に相当する機能が無いところが多少弱いと思われるが,これはSHARPも同様.角度切り替えは[DRG]キーがあるのだが,その後矢印キーで選択する仕組み.本機はメモリー操作もそうなのだが,必要以上に矢印キーに頼る傾向がある.

面白いのが独自仕様のメモリーだろう.写真を見ればわかるが,国産他機種に必ずある[ALPHA]キーがない.では,どうやってメモリー操作をするのか.考え方としては30XBの「ハフマン方式」に近い.これにGUIを組み合わせたのがCITIZEN方式だ.

例えばメモリAへのストアは[SAVE] [=]でオッケー.メモリBなら[SAVE] [→] [=]となる.このとき,液晶画面には[SAVE]キーでメモリ名と選択カーソルが現れ,左右キーでストア対象のメモリーを選択できる.呼び出しは同様に[P/V RCL] [=]なのだが,[=]は省略出来る.例えば,「A+B+1」は

[P/V RCL] [+] [P/V RCL] [→] [+] [1] [=]

となる.しかしこれも同様に数式が消えてGUIのメモリー選択画面が現れるので,直感的インターフェースとはなりきれていない.一方で,選択画面で各メモリーの内容を確認することが出来るので,これはどちらが良いかは即断できないところ.

独自インターフェースは他にもいろいろある.例えば本機は関数に必ず括弧が伴う.従って,「sin30+2」という計算は,

[sin] [3] [0] [→] [+] [2]

と1手多くなる.逆に,「sin(π/6)」の様な計算は2手の節約になるわけで,これもどちらが良いかは好みの問題だろう.

クリアキーも独自仕様だ.他社製電卓における[AC]と違い,[sin]キー直後に[CL]キーを押すと閉じ括弧だけが消える.

その他の特徴としては,マイナー機種ゆえ他メーカーの高級機種と同等の機能,たとえばCALC機能物理定数機能を備えながら値段が「数式通り」最安クラス,という点が挙げられるだろう.

「関数電卓が好き」という人は,是非こういったユーザーインターフェースが異なる機種を手にとって,自分にとってどちらが使いやすいか比べてほしい.そして,もっと関数電卓のユーザーインターフェースに拘りを持って欲しいのだ.それがいつかメーカーを動かす力になるやも知れぬ.

最後に一言.付属マニュアルのわかりにくさは国内最強と言って良い.英文マニュアルを日本語訳したと思われる文章は頭痛を催すレベル.生産は中国なのだが,これくらいは日本でやって欲しい.

KADIO KD-1005
メーカー Putian Power & Honesty Electronics Co. Ltd. 11/03/29初出
型式 KD-1005  
実売価格 外国では\130-くらいで買えるらしい 最近かった電卓
入力方式 標準電卓  
角度モード [DRG]
[F<->E]キー [F<->E] 
メモリSTO [x->M]
メモリRCL [MR]
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
寸評 学生からもらったもので,自分で見つけたわけではない.調べたところ,現行の関数電卓では世界最小.歴史上も,このサイズより小さいものは見つからなかった.具体的にはクレジットカードサイズ.中国の怪しいメーカー製.このメーカー,数十種類の関数電卓をリリースしているが,多くが日本メーカーのコピーである.ブランド名のKADIOは,日本のある有名な関数電卓メーカーのパクリなのか? だとしたらいい度胸だ.

こんな小さなナリで,立派な関数電卓だ.機能はSHARPの「標準電卓」と全く同じ.LSIだけ買ってきて,ガワをでっち上げたものだろう.ただし,SHARPの「標準電卓」は大変操作性がよろしく,CanonにもLSIがOEM提供されている(F-502)由緒正しいものである.従ってキー配列も使いやすさを考えてあり,上の表も満点に近い評価となる.

関数電卓としての実用的価値は無いと言っていいだろう.きちんと計算がしたければキーのサイズが小さすぎるし,「どこにでも持って歩ける」という用途は今ではケータイ,スマートフォンが担うことができる.しかし,この大きさできちんと関数が計算できる,と言う事実にはワクワクする気持ちを抑えることができない.

色々な理由から,こういう,「楽しい」製品を出せるメーカーがもはや日本には存在しない,と言うのは残念なことである.


コレクション自慢(絶版モデル)

絶版モデル おまけ
CASIO fx-913ES
CASIO fx-260A
CASIO fx-912ES
SHARP EL-509V
SHARP EL-509E
SHARP EL-520E
CASIO fx-991MS
CASIO fx-350TL
CASIO fx-991W
CASIO fx-991s
CASIO fx-4800P
Canon F-720i
CASIO F-500
CASIO fx-350MS
Kenko Fx-82LB
CASIO fx-3600Pv
Canon F-715S
Canon F-788dx
Canon F-502
SHARP EL-501E
APCalc 3.26
Fuji 82-D

代表的な電卓の操作方法

標準電卓(SHARP EL-501E)

数式通り入力(Canon F-715S)

Natural Display方式(CASIO fx-912ES)

逆ポーランド方式(HP 35s)


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参考リンク

関数電卓のお勧めはこれ! -高知県立大学生活協同組合

関数電卓で行う軌道解析・制御設計 - 野田篤司のホームページ