【テレビ60年】日本テレビ《24時間テレビ》の存在意義
夏の日本テレビの看板番組《24時間テレビ》が放送される。アメリカのチャリティーショーを下敷きに、《移動入浴車》等の福祉機器の充実を呼び掛け義援金を集める趣旨からはじまった番組。テレビ60年の半分以上の歴史となっている。
24時間テレビは、お手本としたアメリカのチャリティーショーのような、観客を楽しませ、義援金を出してもよい内容であるか疑わしい。
某写真週刊誌が司会を務める出演者たちに8桁もの《出演料》が動いていると書き立てられた。真偽より書き立てられてしまったことに、この番組の関心と限界が見えてきた。
この番組はいったい何を放送しているか。ジャニーズ事務所所属のタレントが司会を務め、闘病記仕立ての感動ドラマを演じ、芸人等が100キロメートル行軍(マラソンと称しているにせよ徒歩である。平成25年はウェブサイトによれば88キロメートル)を行い、
【写真】日本テレビのウェブサイトより
障害者も頑張っているんだとスポーツの挑戦をさせ、最後は《サライ》を合唱して感動しましたねと閉める書式が毎年繰り返されている。
【写真】日本テレビのウェブサイトより
普段から運動不足と思われる芸人等をマラソンの数倍もの距離の行軍をさせて、疲労と痛みにも負けず目的地へ向かう場面を見せて視聴者を感動の渦に巻き込めるとテレビ制作者は思っているようだ。
運動選手でさえ、日頃鍛練、体調管理を行って備えている。ならば、そんな下手な感動を作って押し付けるより、ジャニーズ事務所等の影響力を薄め、NHKが行っている《福祉大相撲》《チャリティーコンサート》のような企画を参考にして、例えば世界中の車椅子マラソン選手を集め、マラソン大会を中継する等の番組編成に変え、日本は福祉とノーマライゼーションの先進国として決意と実践を世界に見せるショーを作る。マンネリ化した、お涙ちょうだいの感動ばかりでは、視聴者はしらけるのみである。
過去、日本のテレビ番組は輸出もされて、世界がお手本とする番組を作ってきた。NHKなどは自らは中立公正と自負してきた。
陳腐化はさらに進む、24時間テレビの終焉は、テレビ媒体の終焉と同義になっているかも知れないのである。
日刊NANZO
平成25年 8月23日号加筆修正