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2013-03-23

【ワープロ専用機】ワープロ専用機を振り返る~カシオワード

 ワープロ専用機が市場から消えて10年を迎えた。Windows95の登場、インターネット利用、そして汎用プリンタの多機能化は、競合するためあかパソコンへ収斂してしまった。
 消えたと言ってもテプラ・ネームランド、ピータッチに代表されるテープライタ、カシオはがき専用プリンタであるプリン写ル、キングジムのポメラのようなテキストファイル専用機の電子文具として形を変えただけだ。
 ワープロ専用機を振り返る最初はカシオワード。特にポータブル型を取り上げる。

 20年以上使い、中古で同型機を2代目として現役稼働している、オヒ!の殿堂3で数度登場した、カシオワードHW-955である。カシオのポータブル機は、ほかのメーカーとは違った特徴があり、特筆すると、倍角、m×n倍角(自由倍角)の使い勝手が良かった。
 廉価版のワープロのフォントは10.5ポイント(日本式の5号活字)、明朝体が24ドットが基本的であった。文字を大きくするには倍角かルビの手段のみであった。倍角の手段も、
 ・制御文字を挿入させて領域を確保する。
 ・横倍角のみ文字を横に2倍拡げる。
 ・行書書式で設定する。
 ・縦横倍角(四倍角)まで表示させる。

 ざっとあげればこの方式となる。そのうち写真であげたカシオワードのポータブル機は、メモリと書式が許す限り倍角が可能だった。
Hw95505
 写真は縦横3倍に拡大設定をした状態である。制御文字を挿入する処理を行っている。この方式の一番良いところは、すでに拡大設定している文字列を別の文字列をのみに置き換えたいとき、文字の部分だけ打ち直せばよい点である。一度消して、再入力、拡大率設定の手間が省ける。
Hw95504
【写真】自由倍角の設定画面
 また、すでに拡大設定している文字列を範囲指定して、すでに設定しているより大きな倍率にかぶせることもできる。行書式を用いた拡大率設定方式も制御文字なしで、すぐに打ちかえられる利点はあるものの、文字単位の倍率変更が効かなかった。

 先ほども上げた、メモリと書式の範囲内で倍率が設定できる点を採用していたメーカーはそれほどなかった。12倍まで24倍までという制限があった。
Hw95503
【写真】HW-955の自由倍角メニュー
 カシオのそれは制限はかかってなかったため、1頁に入るだけの1文字の拡大文字を入れることも可能であった。自由倍角を用いB4、1頁の入るだけの拡大率を設定できた。
 さらにこのHW-955.当時の熱転写ワープロとしては、印字速度が高速であった。1秒間に全角文字10~20文字程度の速度。これでも1980年代後半のワープロ専用機の標準速度であった。
 高速なのは、印字バッファ(蓄積)が強力で、B4横用紙の自由倍角文字を印字させたときは他社と比べて特に早かった。文字を90度回転させて印字させる方式は東芝Rupoが早くに取り入れた。カシオはその印字処理が高速だった。
 カシオのワープロは老舗の東芝・富士通・日本電気、そして松下に隠れているが、後年、ダーウィンなどの優秀な製品を送っている。RAMディスクを搭載して複数文書編集できるようにしたり、最終モデルはカッティングーシートまで作成できた。その経験が電子文具に継承していったと考えられる。