2009-11-23

ゴシップメディアに個人情報を盗まれないよう卒業文集を書くのは拒否しよう。

 千葉の英国人語学講師殺人事件の被疑者市橋は、いまだハンガーストライキ状態だ。国家権力に必死に抵抗しているのか、それとも国家権力の《殉教者》をもくろんでいるか、それとも他の理由なのかは不明である。関係のない卒業文集で性格判断しているゴシップメディアにも分からないから、どうでもいいことにお茶を濁す。警察からハンストの理由をリークできないと推測できる。


■TBS ひるおびより

 TBSのワイドショーひるおびの一場面をご覧頂こう。整形手術のモデルが美術作品に酷似した、高校の卒業アルバムの記事が、コミックの一文と同じだと例示して、おもしろおかしく凶暴性を推測する。《警察への取材=リーク情報》からも被疑者が刑事に歌っていると流れてこないので、世論にこいつは人殺しをするために生まれてきたプレゼンテーションをして味方につける策にでてきたのだろう。

 被疑者を擁護するつもりはない。死体遺棄の事情聴取中に逃走した、証拠がありすぎるので、有り体に申し述べる義務はある。早々に真実を述べないとそれだけ公判には不利。ハンストなどしても起訴されるのは確定した出来事。

 ゴシップ・メディアがどんなにおもしろおかしく、過去暴きに興じても被疑者が《刑事さんわたしがやりました》等と白状しない限り意味はない。地域住民へのインタビューも、罪人との色眼鏡がかかっているので、こいつはワルだ、奇人変人だというのは当然だ。

 子どもが卒業時期にさしかかって、卒業アルバム・文集をつくろうとなったときには、ゴシップメディアに個人情報が漏れかねないので断固拒否するように抵抗してこいと言うつもりである。その集団にアルバム・文集を買いたたかれ、おもしろおかしく使われた後どのように利用されるか分からないからだ。

2009-07-01

長崎幼児誘拐殺人事件からきょうで6年。

 平成15年7月1日長崎市北部の大型電気店から12歳(中学生)が幼児を連れ出して電車で移動後殺害したという事件からちょうど6年。きょうの現場付近の模様の写真を提供してもらった。



■写真提供 編集委員の知人
 事件の影響は大きく、少年法が厳罰化したきっかけの一つの事件だが、マスコミの劇場化された報道に疑問を持った人も少なくはないだろう。今回は、リンクサイト《なんぞねっと》の旧代表者から委譲された貴重な写真をみながらは事件を振り返りたい。
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■女性セブン 平成15年7月31日号
 事件から約10日後、少年は逮捕された。家庭裁判所内、拘置所周辺にはヘリコプタとマスコミの中継車輌が集結し《前代未聞》とされる事件を伝えまくった。この週刊誌には《倒錯の7畳間》なる題字をつけ、あたかも起きるべくして起きた事件と煽りまくった。紙面にはモザイクがかかっているが、すでにマスコミには被疑者の顔写真が回っていた。今の裁判員制度でこんな報道はできないだろう。
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■週刊ポスト 平成15年10月24日号
 犯行が奇異だったため、警察情報のリークかどうかわからないが、MRI写真まで週刊誌にでかでかと載せてしまった。被疑者ならどんな情報でもだして暴いてよい典型的な例である。
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■長崎新聞 平成15年8月20日 社会面
 被害者の父親は、このころ公の場の謝罪を訴えていた。被疑者が逮捕された時点から、《少年法の改正》という言葉が記事に載りだした。少年法を厳罰化する勢力から利用されたのかそれともいい機会だったのかマスコミも一大キャンペーンを展開した。
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■西日本新聞 平成15年9月25日社会面
 少年審判への被害者遺族への参加が認められなかったのを改善したのには一定の評価があるが、振り返ってみると、被害者と加害者の対立の構図を強調させるために遺族をうまく利用したのではないかと思われる。その後長崎新聞からこのような記事が一面を飾った。
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■長崎新聞 平成15年10月1日、2日 1面。
 長崎新聞の記者が被疑者少年の両親の家に単独インタビューして謝罪の気持ちを伝えるというスクープ記事が掲載された。この両親が被害者遺族に直接謝罪は拒否していたのでいわば公の謝罪となるが、これを後に被害者の父親は《新聞に偽りの謝罪記事を書かせた》と頻繁に新聞掲載された手記に掲載し批判した。  さて、あれから6年。少年がさいたま市にある収容されていた更正施設から長崎へ戻ったが、一時市内で行方不明になったことであの記憶がよみがえった。  法改正を望む弁護士とその勢力と、派手な報道合戦《被害者と加害者の対立の構図》だけ渦巻き、双方の家族はそれに翻弄されて、悲しみ苦しみはそのまま置き去りになったのではと思う。
 
 改めてこの事件は何だったのか。裁判員制度と事件報道を改めて考えるいい機会だと感じた。

2009-05-22

この事件も裁判員制度対象です。中央大学教授刺殺事件

日刊NANZOより
http://plaza.rakuten.co.jp/nikkannaozo/diary/200905220003/

【写真】報道ステーション 5月22日放送分

 中央大学教授刺殺事件。被疑者は卒業生だったとセンセーショナルな報道。新型インフルエンザで飽き飽きしていたゴシップ好きには言葉は悪いが一服の《清涼剤》になったようだ。  最近のメディアは、車輌内部が見えないようにガラスに黒い膜を貼っているのにわざわざそれが見えるようなフィルタをつけて被疑者を大写ししている。そこまでして撮影する理由はなんぞやだ。  この報道、卒業アルバム・文集の大公開という従来スタイルのそれではなかった。21日から開始された裁判員制度をかなり意識した作りになっている。だが、こういう場面は改善はされていない。

 被疑者の同級生を追いかけ回し、いかに彼が凶暴性満点、いつ事件を起こしてもOKだったと印象づける作りは健在である。これが裁判員にどのような《予断》を与えるのか、公判が開始されたら注目していきたい。  裁判員制度に疑問を持っていたメディアが、とりあえず、意味もなく、ゴシップを満足させるだけの、卒業アルバム・文集の場面が減ったことは評価できよう。今後は、容疑者ではなく、被疑者という表現に改めるように望む。

2009-05-20

裁判制度明日スタート~長崎新聞の事件報道への主張

日刊NANZOより

■長崎新聞 5月20日号 1面
 
 明日、5月21日裁判員制度がサービス・インする。メディアも新型インフルエンザの報道に押され気味でありながらも、大々的に伝えている。  長崎新聞1面の《水や空》、朝日新聞の天声人語のようなコラム記事である。ここには3月1日から長崎新聞の事件報道について改善運用したとの書き出し 。裁判員に事件に関しての予断を持たないように書き方を改めたとのことである。
■長崎新聞 5月20日号 1面
 犯罪報道が被疑者が犯人ありき前提の伝え方から改めたとある。このような場面が急に減ったことに気づいた。

■平成20年7月17日放映 NHKニュース7
 このテレビ画面は、バス乗っ取り事件の被疑者が少年だったと、卒業文集まで大写しして、被疑者が凶悪事件を起こす素地があったと伝えまくっていた。定番のひな形で凶暴性をあおりまくっていた。
■平成20年7月17日放映 NHKニュース7  
   普段はおとなしい、しかしこんな面があったと、被疑者のマイナスイメージを関係者のインタビューを織り交ぜ強調する。テレビを見た裁判員は、異口同音に被告に極刑を、厳罰をという先入観を持つことになる。
■長崎新聞 5月20日号 1面
 《改善後の記事は、逮捕容疑は警察が明らかにしたものであり、この段階では容疑者が犯人と決まったものでもなければ、疑いの内容が事実としたわけでもないことを強調する一方、容疑者側の主張を極力取材するように努めている》
 今頃、当たり前のことをやり始めたわけである。裁判員制度が始まらなかったら、従来通り、警察に逮捕→犯人確定・事件解決という図式が続いていた。これまでは、報道の自由・国民の知る権利とたてついていたメディアがころりと変わったのである。
 国民の知る権利をいいわけにして、ゴシップ心を満たす記事作りをしていたのはどこのどいつだだ。  この記事、こんな苦しい言い訳をしている。《確かに私たち新聞は犯人視報道の傾向を元々、自覚していたし、改善の必要も感じていた。》必要に感じていたなら、裁判員制度が始まらなくとも、行っていたはずだ。  長崎新聞も自覚などはしていないといえよう。ゴシップ記事で被疑者をおもしろおかしく伝え、被害者と加害者の対立の図式としてドラマ仕立てにしてきた、このお高いメディア集団にそんなものがひとかけらでもあったのだろうか。よく、こんな言い訳を平気で書けたものだ。
 
 読者の反応がないと記事の終わり付近にあるが、単に気づいていないだけである。啓発もしていないのに、読者に責任を転嫁している。裁判員制度のおかげで、おもしろおかしく事件報道書けなくなり、被疑者凶悪人確定でショーを作って、視聴率と売り上げを上げられないメディアの悔しさが如実に表れている見本だ。もっともワイドショーのゴシップ好きにもテレビがつまらないと言っていることは察しがつく。
 裁判員制度には賛否両論があるが、少なくともメディアが入れ知恵をさせるようなゴシップショーが減ったことについては、導入してよかったと考えている。

2009-04-21

裁判員制度開始まで1か月。選ばれたあなたは裁ける勇気はあるか?


【写真】4月21日 NHKニュースウォッチ9の一場面から
 平成10年に起きた和歌山での砒素を使った毒物カレー事件の被告に最高裁は、《状況証拠》でも証明できるとして、死刑が確定した。メディアのお祭り騒ぎは民放では顕著であるが、ここでは触れない。
 1000件以上の状況証拠を重ねに重ねて、検察が「こいつがやった。死刑にしろと」という主張を認めたわけである。これで前例が出来たわけで、状況証拠さえ固めれば、いつでも被告人になることができるわけである。
 今回の毒物カレー事件の場合。カレーに毒物を入れるだけのスキがいくらでもあった。たくさんの証言で、当事者確定につながった。結果、極刑を持って望むしかないのだが、動機は解明されないままだ。最高裁は、動機がなくてもよいとの判断もしている。

 事件は、《動機×スキ》で、起こるといわれる。動機が0でも、スキさえあれば、「こいつ怪しい」「普段からトラブルを起こしてやると思った」「現場にいるのを見た」だけでも、道を歩いている人を被疑者に仕立て上げ、死刑にすることもできる訳である。これにメディアのお祭りが加われば、いくらでも状況証拠をひねり出すこともできる。
 1か月後、裁判員制度が始まる。今まで模擬裁判などのテストを繰り替えして万全であるとは思うが、状況証拠しかなく、メディアが煽りまくった裁判をする場合、正確な裁判ができるだろうかと考える。それこそ《テレビのチカラ》で、冤罪事件を作ることは可能である。
 まずは、実運用してみてにはなるが、動き出したら、事件報道のあり方も考えなくてはという事態も予想される。成り行きを注目したい。

2009-02-09

最近少し変わったNHKの事件報道

 最近NHKの事件報道のニュース記事が変わっているのにお気づきだろうか。

 

【その場で逮捕】
 すなわち《現行犯逮捕》のことだ。わかりやすい表現ではある。民放ではもちろん現行犯を使っている。そちらがインパクトがあるのは不明。

 

【警察の取材で分かった】
 新聞では、《○○容疑者は、○○しようとしたことが分かった》というアレである。どのようにして分かったのかは不明だが、とにかく分かったいう。警察発表でも警察の取材であり、警察幹部または関係者からリークされた情報も取材であろう。

 次はどのような変化がでているか注目していこう。