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2010-12-16

【往年のデジタル機器】キヤノワードミニ5〜ひら書き変換方式

 昭和58年に発表された《キヤノワード ミニ5》。ポータブルワープロ専用機の幕開けに登場したこの機種の変換方式は今と違って特殊だった。類似機種の説明書を手に入れたのでそれを元に説明していく。


【写真】Canoword mini 5 (1983)


ひら書き変換方式


 大量にひらがなを入力しあとから熟語変換をしていくこのマシンの変換方式は、《ローマ字・カナ自動変換方式(ひら書き変換方式)》と表示されている。名称は、昭和59年に発売された、メモリ容量を減らし、16ドットフォント印字にマイナーチェンジした、《キヤノワード ミニ3》の説明書から判明した。


【写真】Canoword mini3 説明書 (1984)

 現在のPC用日本語入力と違い、ひらがなを延々といれられる。何文字入るかは説明書には示されていなかった。カタカナの部分はカタカナキーを押して、アルファベットは英数キーを押してそのまま入力が続けられる。入力中に変換候補をあらかじめ選んで処理する《先読み》処理は省かれていると考えられる。

【写真】Canoword mini3 説明書 (1984)

 変換に該当するキーが【サーチ】キーである。説明書ではこのように表記している。
 サーチの説明は

 このキーを押したとき、カーソルが反転文字列の間にある場合は右側にある反転文字の方を優先して単語の読みを探します。右側にない場合は左側の反転文字の先頭から単語の読みを探します。
 カーソルが反転文字列の途中にあるときは、カーソルまでの反転文字を普通の表示に替え、同時に右側の反転文字から単語の読みを探します。


 分かりづらい表現なので、実機での例を示す。
 写真は、《ほんじつはせいてんなり》を入力してサーチを押したときの状態である。


【写真】ほんじつはせいてんなりを入力してサーチを押したところ。

 変換は熟語単位なので、熟語変換は、本日  晴天 なり と単語単位で変換をしていく。この場合は、本日にあたるほんじつを探しあて、の部分にカーソルがいっている。もし区切りが違っていれば、機能+解除を押して変換前の状態に戻す。

 ここで一般の変換キーのように、そのままサーチを押すと無変換処理される。サーチの2度押しは無変換である。結果はほんじつとなる。ひらがなだけの場合は、直後に反転を押し再度サーチを押す。

 目的の単語を出すには、次候補を押す。決定したら再びサーチキー。現在普通に使っているどのIMEの操作と違っている。

 

サーチキーの働きは、
  1)変換キー
  2)変換候補確定(次候補を用いずに押すと無変換)
 になる。慣れると意外に便利。そうでなければ面食らう。


2箇所のサーチ(変換)キー


     この機種、サーチ・次候補キーが2箇所ついている。
 親指で操作する位置と、右手側で操作する部分。


【写真】Canoword mini3 説明書 (1984)

 機能は同じである。ただし、親指で操作する部分と右手側でのそれは若干違う。説明書を拡大する。

【親指で操作する部分】

【右手側】

   サーチキー側面の刻印が違っている。機能キーを押しながら使う部分。
 《解除》は、変換後の出力された候補を取り消して、変換前の状態に戻す。
 《反転》は、無変換操作したひらがなを変換できる状態に戻す。

 どうして2箇所も変換操作キーがあるのかは開発者のみぞ知るわけだが、
 親指側→文書を作成
 右手側→文書作成後、校正・推敲。

 の目的別に設置したと推測できる。出来上がった文書を読み返すときに、左右に動かせるカーソルで読みながら修正が必要になればそのまま文字を入れてサーチキー。が便利だと見たのだろうか。

 機会があればまた取り上げる。