« 【V・ファーレン長崎】5月19日長崎ホームゲーム臨時バス運行2 | メイン | 【30周年記念】衝撃のアニメ~世界名作劇場《わたしのアンネット》を振り返る。 »

2013-05-21

【児童文学】続々瞳の中の少年~十五少年漂流記:学んで楽しい学習まんが編

 カートゥーン・ネットワークにて平成25年 4月13日、14日放送された、《瞳の中の少年~15少年漂流記》(日本アニメーション:昭和62年)を視聴して、原作を翻案していったのかを取り上げた。
 続々編として小学館から欧米を中心とした古典文学を漫画化した《学習まんが 世界名作館》が第4巻の《十五少年漂流記》(漫画制作:大谷じろう 平成25年 2月 3日初版)を紹介し、動画と漫画の翻案を比較する。
■表紙
K0010124

■キャラクター一覧
K0010122
K0010123

 キャラクターのデザインは、少年漫画誌に十代の群像を扱った作品に登場する現代風の少年。ウィルコックスのデザインは、突っ張った高校生ではというのが率直な感想である。日本アニメーション版の関修一氏のデザインを比べると、
130520_110856
【写真】動画版 ドノバン(左)・クロッス(右)
 年齢が高く感じられる。これは人によって年相応だといっても、それも正しい。要は、昭和60年代の動画と、平成20年代の漫画では、作者の少年に対する描き方の定義が違う。
 動画版ではかなりの翻案が行われていた。趣旨は原作と同じでも全く別物の物語りである。漫画版は原作に忠実、小説の要点を余すところなく取り上げている。

K0010125
 原作の翻訳、再構成版を読んだ人はお分かりの場面。
~悪者が島へ上陸して巨大な凧に籠をつけて乗り偵察しようと思いつく。果たして誰が任に当たるかという時に、真っ先にブリアンの弟ジャックが手をあげる。その理由はとなる。~
 児童向けの漫画かつ漢字が少ないのは当たり前として、大人でも楽しめる。ページ数の制限、対象年齢の理解度を鑑みても、子供用だからという手抜きなしでしっかり作られている。
130520_195159

【写真】動画版 ブリアン(左)・ジャック(右) 

 動画版では、ジャックの視点で描かれており、命を賭して危険を冒す話はすべて省かれている。これも十分に面白い。失敗を告白した相手がドノバン(ドニファン)であるのは、小説を読んだ人には驚きを与える。兄ブリアンは薄々気づき、あとでは知っていたとドノバンに告げる。簡単に言えば、動画の上では、ほとんどの登場人物は、漂流の原因はドノバンで、ジャックはその秘密をばらそうしたことになっている。

Photo

 仲間で発生する問題を一つ一つ解決して、友情と協調を全面的に押し出ている。家族が視聴して楽しい内容にするために、製作者もほぼドノバン(ドニファン)をやんちゃでもジャックの失敗をかぶって気風のよさを強調する別物の冒険物語にしたと考えられる。それでも物語の趣旨を保っている。

 漫画版に戻すと、原作の冒険活劇の要素を取り出している。学習まんがは発展学習の要素もあるため、原作者の資料集も付けている。活字に興味を引き出し、地理・歴史それに科学を深めれば目的は完成する。
 まとめれば、見て楽しいか学んで楽しいかによってつくられ方が変わる良い例である。

【平成25年 6月23日追記】
 動画版と漫画版の違いをまとめました。→ 資料集