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2012-12-01

【九州商船】さようならフェリー長崎、ようこそ椿。

30年超の運用を終えて
 九州商船五島航路長崎~福江間のカーフェリーは、昭和50年代、内海造船建造の2隻の《フェリー福江》《フェリー長崎》が導入され、長崎福江間直行3時間台のダイヤが実現し、日帰り滞在が容易となった。
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【写真】最終運用日のフェリー長崎
撮影日:平成24年11月30日 長崎港にて

 この船が導入されたときは小学生だった筆者は、大きな船、中はきれいで甲板に上ってどこまでも広がる海原と島影、潮風にあたり、波が高い日の航海は揺れによる船酔いに耐えながら目的地に言った記憶がある。五島列島から長崎市への直接の足は、平成2年のジェットフォイル就航までほぼこの船であった。
 高校時代までは、2隻の船を用い、修学旅行、高校総合体育大会、各種試験などを使い長崎へ渡たり実に思い出深い船であった。
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【写真】引退前のフェリー福江
撮影日:平成23年 3月 4日 長崎港

 船側のサービスは売店、自動販売機、お湯とお茶の給湯器(カップラーメンを販売していたため)、船舶公衆電話、貸出毛布にテレビであった。ごみ箱もあったが、荒れた海を航行するためか、金属の洗面器が置かれていた。
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【写真】フェリー福江 2等客室
撮影日:平成23年 3月 4日

 運用から30年を超え、老朽化、バリアフリーの要求にこたえきれない面が出始め、新船の期待が固まった。

離島地域交流促進基盤強化事業により建造費全額補助
 船の建造には多額に費用が必要になる。長崎県の《PDF:離島地域交流促進基盤強化事業》(長崎県新幹線・総合交通対策課:県の補助制度を活用した長崎~五島航路の新造フェリー「椿」の就航について(平成24,11,21))助成を受け、内海造船建造の《万葉》を平成23年 4月17日に就航させ、今回、《椿》の就航にこぎつけた。速力も向上し直行で3時間強と短縮され、併せてダイヤ改正が行われた。
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【写真】運用初日の椿
撮影日:平成24年12月 1日 長崎港にて

 長崎県によると、新船建造費の25億2350万円は長崎県離島地域交流促進基盤強化事業費補助金から全額補助。 万葉並びに椿建造に伴い県からの補助金相当額を全額を五島航路の旅客運賃値下げにより還元するして実施している。
 椿の諸元を前述の長崎県の文書から引用する。

◎総トン数:1,559トン
○ 「万葉」と同様に客室はワンフロア、バリアフリー対応。
○ 「万葉」に比べると船尾甲板を室内にすることにより客室面積を拡大するとともに、
エレベーターも拡張することによりストレッチャーも運べる長さとした。
◎全 長: 86.50m
◎旅客定員:482名
◎車両搭載: 8t積トラック18台
◎運航速力: 18.0ノット(約33.3km/h)
◎設備等 : 操船面では旋回能力を上げるための高出力「バウスラスター」や水流を効率的に捉える「シリングラダー(舵)」を備えるとともに、高速性・乗り心地を確保するための船首・船尾の仕様とし、21ノット(約38.9km/h)の最高速力時でも減揺のための「フィンスタビライザー」等を採用することで、安定性・快適性・堪航性の向上が図られている。
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【写真】運用初日の椿
撮影日:平成24年12月 1日 長崎港にて

 12月1日の晴天穏やかな朝の下、港には社員の旗の見送りで福江港に向けて出港した。白と緑を基調とした塗装から白を基調に赤と黒の線のシンプルなものと変わっている。これから島の人たちのどのような《思い》を運んでいくかを考えつつ、船の姿が小さくなるまで見送った。
 就航記念に船をかたどったプラスチック製のしおりをいただいた。
Tsubaki